スポーツ選手の栄養 ~タンパク質の摂りかた②~
スポーツ選手の栄養
~タンパク質の摂りかた②~
前回タンパク質の基本的な情報を紹介しました。
今回はスポーツ選手にとってのタンパク質の摂りかたを紹介していきます。
基本的な考え
タンパク質は筋肉を構成していると構成とお伝えしましたが、筋肉中には20%程度しか含まれていません。
そのうちの必須アミノ酸の35%程度が、運動中にエネルギー源として利用されることが多い「分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン:BCAA)」です。
この分岐鎖アミノ酸は食べ物タンパク質の中では、必須アミノ酸の約50%です。
分岐鎖アミノ酸は、運動強度が高くなると分解促進の酵素が活性化され、エネルギー源として利用量が増えます。
また、運動時間が長くなると、減少した糖質を補うためにアミノ酸の一部分を使って糖質をつくることから利用量が増加します。
スポーツ選手にとってタンパク質は、運動量の増加や運動時間の延長に伴い、摂取量を増やすべき栄養素になります。
スポーツ選手にとってのタンパク質摂取
①運動中にエネルギー源として使われたタンパク質のリカバリーのための摂取
通常、エネルギー源として、糖質と脂質をつかっています。しかし、運動強度が高くなったり、運動時間が長くなると、タンパク質分解がおきます。
タンパク質(分岐鎖アミノ酸)の分解には2つの影響があります。
1.骨格筋を分解しなければならないこと
筋肉から分岐鎖アミノ酸だけ抜き取ることができないため、骨格筋へのダメージ
大きくなり、末梢性疲労の原因となります。
2.分解されたアミノ酸の行方
多くのアミノ酸、遊離アミノ酸になるか、肝臓でさらに分解されるだが、必須
アミノ酸の1つであるトリプトファンは、神経系の疲労である中枢性疲労の原因と
なる。
こうした影響があるため、分岐鎖アミノ酸の分解を避けたいが、運動量が増えるスポーツ選手にとっては難しい。
ではどうようにして分岐鎖アミノ酸の分解を減らせば良いのかだろうか?
その方法は、エネルギー源としての糖質の減少によっておこる分岐鎖アミノ酸からの糖新生を軽減させることです。
運動前から筋グリコーゲン量を多くし、運動中に糖の摂取を続けることが大切です。
②筋合成のためのタンパク質摂取
運動によって筋肉に強い刺激が加えられたとき、筋肉痛になり、タンパク質を摂取することで、筋肉痛が治っていき、さらに筋肉が増し、筋肥大がおきます。
このため、タンパク質を多く摂ってもトレーニングしなければ、その分筋肉が大きくなるわけでありません。
このように、スポーツ選手にとってタンパク質摂取は疲労をおこさない。筋肉を増加させるためには必要なものですが、ただタンパク質を摂ればいいということではないので注意しましょう
スポーツ選手の栄養 ~タンパク質の摂りかた①~
スポーツ選手の栄養
~タンパク質の摂りかた①~
今回は、タンパク質について紹介します。
スポーツ選手にとって一番タンパク質を摂り入れたいと思っている方も多いと思います。
タンパク質は筋肉を構成するものですので、上手に摂れるようにしましょう。
そのため今回は、タンパク質について基本的な情報をお伝えします。
タンパク質とは?
タンパク質は、「多数のアミノ酸が結合して構成している高分子化合物のこと」です。
糖質、脂質と同様に、炭素、水素、酸素原子からなる化合物で、糖質や脂質と異なり、窒素が必ず含まれています。
生体のアミノ酸は20種類あります。
アミノ酸の種類
必須アミノ酸…体内で合成されない、もしくは合成されてもそれが必要量に達しないため、食べ物から摂り込まなくてはならないアミノ酸。
タンパク質の働き
①身体を構成し、機能を維持
筋肉や臓器などを構成する最も重要な栄養素です。
例えば、筋肉の構成成分となるアクチンやミオシンや毛髪・爪・皮膚に含まれるケ
ラチンなど。
また、生体機能を担うさまざまな物質の材料となります。
例えば、生体内反応の触媒である酵素、インスリン・グルカゴン・成長ホルモンなど
のペプチドホルモン、ヘモグロビン・アルブミン・リポタンパク質・トランスフェリ
ンなどの運搬タンパク質、生体防御反応に関与する免疫グロブリン、血液凝固に働く
フィブリノーゲンなどはアミノ酸から作られます。
②エネルギー代謝にかかわる
タンパク質は、1g当たり4kcalとしてエネルギー源として利用されます。
また、糖質や脂質に比べて特異動的作用が大きく、体温の維持に役立ちます。
タンパク質は体構成成分として重要な役割をはたしますが、飢餓状態では、生命維
持でエネルギーを確保するため、身体を作っているタンパク質が分解されます。
そのため、糖質や脂質が十分に摂取していれば、タンパク質はエネルギー源として
分解されることなく、必要最小限の摂取で有効に活用することができます。
タンパク質にはさまざまな効果、身体に重要な化合物でありますが、タンパク質だけ摂取しても、有効に活用することができます。
バランスが大事なのです!
スポーツ選手の栄養 ~脂質の摂りかた②~
スポーツ選手の栄養
~脂質の摂りかた②~
前回、脂質について紹介しました。
今回はスポーツ選手にとっての脂質の摂りかたを詳しく紹介しています。
前回の復習
脂質は1gで9kcalとなり、効率よくエネルギーを摂取することができます。
細胞膜の構成成分であるなど、さまざまな役割があり、スポーツ選手の身体には欠かせない栄養素の一つです。
基本的な考え
脂質は身体に欠かせない栄養素だが、だからといって高脂肪食や断食など糖質の少ない食事を続けても、その分脂質がエネルギー源として利用されるわけではありません。
運動強度が低・中強度でしたら、運動量に比例してエネルギー源として脂質が使われれる。
しかし、高強度になると、酸素の摂取が下がり、糖質を使ったエネルギー代謝になるため、脂質の利用は抑制されます。このため、糖質が少ない高脂肪食はパフォーマンスを損ねます。
よって、食事は糖質の必要量を摂取できるようにしたうえで、脂質を活用した無理なく食べきることのできる献立を心がけましょう。
スポーツ選手にとっての脂質摂取
スポーツ選手はエネルギーの必要量が多くなります。そのため通常、ごはんの量を増やしたり、補食を用いたりします。
しかし、人それぞれ食べられる量には限りがあるため、ごはんの量や補食を増やすには限界があります。
そこで脂質が活躍します。
脂質をうまく活用することで、エネルギーを不足なく摂取することができます。
また、長期間にわたって脂質の摂取量が総エネルギー摂取量の20%以下になると、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)の減少や必須脂肪酸の摂取不足になる可能性があります。
脂質の種類
脂質にはさまざまな種類があるため、油の質にも気を遣ってください。
飽和脂肪酸を少なくし、不飽和脂肪酸の割合を増やすことがよいです。
しかし、不飽和脂肪酸であるトランス脂肪酸の摂取には注意しましょう。
一定量以上摂取することで、虚血性心疾患のリスクを高めます。
最近のトレンド
最近、特別な機能をもつオイルが出てきています。
例えば、オリーブ油、亜麻仁油、ゴマ油、中鎖脂肪酸油など(不飽和脂肪酸が豊富に含まれている)、
運動前の大量摂取やエネルギー過剰を引き起こさないために、これらの油を積極的に摂取しましょう。
スポーツ選手の栄養 ~脂質の摂りかた①~
スポーツ選手の栄養
~脂質の摂りかた①~
今回は脂質の摂りかたについて紹介したいと思います。
皆さんは「脂質」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
油に多く含まれているためあまりいいイメージを持ってないかもしれません。
まずはじめに「脂質」とは何かを、学びましょう!
脂質とは?
「水に溶けないで、有機溶媒に溶ける化合物のこと」です。
さまざまな種類がありますが、栄養学的には脂肪酸、トリグリセリド(中性脂肪)、リン脂質、糖脂質、ステロイドがあります。
脂質の種類
脂質は、単純脂質(中性脂肪)、複合脂質(リン脂質、糖脂質など)、誘導脂質(ステロイド、脂肪酸など)などに分類できます。
一般に、脂肪は中性脂肪のことを指し、1つのグリセロールに3つの脂肪酸が結合してできています。この脂肪酸の種類によって脂肪の性質に違いが出ます。
飽和脂肪酸は、動物性の脂肪に多く含まれています。
不飽和脂肪酸は、二重結合という結合をしており、二重結合が1つのものを「一価不飽和脂肪酸」といい、それ以上のものを「多価不飽和脂肪酸」といいます。
一価不飽和脂肪酸は、植物性の脂肪に多く含まれ、多価不飽和脂肪酸は、魚油に多く含まれています。
この二重結合の場所によって、n-3、n-6、n-9の系列に分類することがあります。
n-3系は、必須脂肪酸(体内で合成できない脂肪酸)で、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)があります。
n-6系は、必須脂肪酸で、リノール酸、アラキドン酸があります。
n-9系は、オレイン酸があります。
細胞膜の構築・維持や、脂溶性ビタミンの代謝の補助、ホルモンの材料などとして、体内で重要な役割を担っています。
脂質のはたらき
①エネルギー源
脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを発生させます。
②貯蔵脂肪として蓄積
過剰なエネルギーは中性脂肪となって、蓄積します。同じ量のエネルギーを蓄積する場合、糖やタンパク質より半分ほどの重さで済むため、機能的です。
③ビタミンを節約
脂質のエネルギー代謝過程ではビタミンは不要で、ビタミンを節約できます。
④生体膜の構成成分
リン脂質、糖脂質、コレステロールは、生体膜の構成成分として広く分布していま
す。
⑤細胞膜機能を維持
多価不飽和脂肪酸は細胞膜機能の維持に重要な役割を果たし、欠乏すると皮膚炎、
脱毛、腎変性などが生じます。
⑥胃内滞留時間を延長
脂質は、胃での消化を抑制させる作用があり、脂質を多く含んだ食べ物は胃内滞留
時間が長く、空腹感の軽減となります。
「脂質」にはさまざまな種類があり、体内でさまざまな効果を示します。
この脂質を適切にとることが、スポーツ選手はもちろんのこと、すべての人に大切なことになります。
次回はより詳しくスポーツ選手のための脂質の摂りかたを紹介します。
スポーツ選手の栄養 ~糖質の摂り方~
スポーツ選手の栄養
~糖質の摂り方~
今回は、糖質の摂り方を紹介します。
近年、糖質制限がブームになっていて、糖質を摂る人が減ってきているのではないですか?
しっかり糖質のことをスポーツをする人の観点からおさえていきましょう
まず糖質とはいったい???
簡単に言いますと、ごはんやパンなどの炭水化物から食物繊維を除いたもので、エネルギー源となります。
そのため、スポーツ選手など運動量が多い方には、エネルギーが必要なため、この糖質の必要量が増加します。
糖質が含まれている食品って???
これは皆さんもご存じだと思いますが、砂糖や、穀類などに多くの糖質が含まれています。
スポーツ選手では、スポーツドリンクやエナジードリンクなどで、多くの糖質を摂る必要があります。
スポーツ選手にとって、試合などに絶好のパフォーマンスができるためには、食事を摂るタイミングが重要になります。
ではどのようなタイミングで糖質を摂ればいいのでしょうか?
そのタイミングを考える方法として5つ挙げられます。
- 朝、昼、夕食の食事開始時刻が、試合時刻に影響するか
- 3回の食事でエネルギーが足りているか
- もし足りていない場合、補食をするがその時間やタイミング、食べられるか
- 試合時間
- スポーツドリンクなどで試合中摂取可能か
これらのことを考えて、糖質の摂取をしなければなりません。
1つ目の食事開始時間では、なるべく試合2時間半前には食事を終え、空腹状態で始めれるようにして、試合中にスポーツドリンクなどで糖質補給を行いたいですね。
2つ目のエネルギーが足りているかは、個人差があるため、一概にこの量とは言えません、毎日体重を測り、体重の増減で摂取量が足りているか判断するのが適切かと私は思います。
糖質はスポーツ選手にとってとっても大切な栄養素です。
この糖質を適切な量、タイミングで摂取できることが最高のパフォーマンスにつながることを理解してください。
スポーツ選手の栄養 ~なぜ栄養管理が必要??~
スポーツ選手の栄養
~なぜ栄養管理が必要なのか~
本日からスポーツ栄養のことやさまざまな食のことについて
ブログでご紹介していこうと思います。
初めに、スポーツ選手になぜ栄養管理が必要なのか考えてみます。
スポーツ選手特有の理由として今回は、2つ考えられます。
まず1つめの「トレーニングにより、必要なエネルギーが多くなること」について
当然、運動すれば、それだけエネルギーを使います。
そのエネルギーを確保するためにはたくさん食事でとらなければいけません。
しかしスポーツ選手だれもが大食いではないため、食べられる量には限界があります。
そのため、効率よくエネルギーを摂取できるように栄養管理が必要になるのです。
2つめ「トレーニング中は効率よく消化・吸収ができないこと」について
少し専門的な話となりますが、ヒトには自律神経というものがあり交感神経と副交感神経からなります。
食べ物の消化・吸収は副交感神経が優位の時に促進されます。
運動中は交感神経が優位であるため、消化・吸収は抑制されます。
そのため、運動時間が長いスポーツ選手はなかなか消化・吸収が行われないため、栄養管理が必要になるのです。
他にも細かく言えば、スポーツ選手の栄養管理が必要な理由はありますが、ここではこの2つをあげさせていただきました。
このことをまず理解して、スポーツ選手に対して「食事は大切なんだ」と感じてください!